2011年11月23日

甲状腺機能低下症

今回のトピックは発生率が10年で5倍に増加した病気「甲状腺機能低下症」についてです。
その発生率が増加した理由として、
@病気に対する認識が高まったこと、
A甲状腺ホルモンを測定する検査が増加し、診断が比較的容易になったこと、
B犬の寿命が長くなってきたこと
があげられます。
症状は疲れやすかったり、何となく元気がなかったり、規定量のご飯を上げていても体重増加してしまうなどがあります。
また、皮膚にも異常が出やすく、被毛粗剛、カール状の毛、尻尾の付け根の色素沈着、脱毛(体幹・鼻梁・尾根部)、フケやべとべとした被毛、外耳炎や皮膚病が治りづらいなどがあります。
雌では無発情不妊症になったりもします。

血液検査での特徴は軽度の貧血コレステロールや中性脂肪の増加が認められることがあります。
胆泥症の場合はALP・GGTが上昇したりします。
上記のような所見が得られたら、甲状腺のホルモンを測定してみるのも良いかもしれません。

この病気の原因は、
先天的に甲状腺ホルモンを合成する経路に異常がある場合と
後天的な要因として
@リンパ性甲状腺炎(自己免疫疾患)により組織が破壊される場合と
A特発性甲状腺変性という原因不明な場合があります。

診断するにはホルモン検査が有用です。
測定するのは甲状腺ホルモン(T4・fT4)、甲状腺ホルモン刺激ホルモン(TSH)の3項目です。
TSHを調べる意義は甲状腺ホルモンの分泌の低下が甲状腺自体の問題なのか、甲状腺より上位(下垂体・視床下部)の問題なのかを鑑別することにありますが、甲状腺ホルモンが低下していたら、結局お薬が必要になるので、T4・fT4の2項目によって診断する方法を示している論文もあります。
ステロイド・抗てんかん薬・抗生剤の中にはT4の測定値を低くしてしまう薬剤もありますので、一定期間の休薬が必要になります。

治療は生涯にわたる甲状腺ホルモン製剤の内服が必要になります。
今までは、海外薬を輸入したり、人薬を1日2回4錠ずつ飲ませたり(体重20kgの場合)と大変でしたが、今月末にやっと日本でも動物薬(レベンタ)が発売されることになりました。
その薬は高濃度で持続性もあり、20kgで0.2t、1日1回と量も回数も少なくなりました。
服薬後、T4が正常範囲に安定するまでは2-4週間おき、安定後は4か月おきの血液検査とホルモン検査が推奨されています。
脱毛など皮膚症状の改善には3か月以上かかることがあるといれていますが、元気消失・無関心・食欲低下などの症状は通常2週間以内に改善が見られ、生活の質(QOL)の向上に有用なお薬です。

もしかしたらうちの子も?
あてはまる症状がございましたら、ご相談ください。

院長 豊福健
posted by rose-ah at 17:23| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識

今日は何の日?

今日は何の日でしょう?
そう、勤労感謝の日!
労働者をいたわる日です。
そんな日ですが、病院は開いております。

それは置いといて、重要なのは勤労感謝ではなくて11月23日という日。

人には、それぞれ忘れられない特別な思い出の日があります。
誕生日、結婚記念日w、目標を達成した日。
人によって、大切な思い出の日はそれぞれ。

今から思えば、11月23日のこの日が私の人生を方向づけた日なのかもしれません。

そう、今日は実家の犬(2代目)、レオの命日なのです。
初代わんこは私が幼すぎてあまり記憶に残っていないので、
レオが私にとって初めて密接に触れあった動物でした。
もう20年以上もたってしまったけれども、
歴代のわんこ・にゃんこの命日は思いだせないけれども、
この日だけは毎年、思いだします。

愛犬レオはフィラリア症でした。
予防薬もない時代、
番犬としてのニュアンスが強く、外飼でしたから、
田んぼの多い田舎では感染して当然と言えば当然。
腹水がたまって、末期でした。
数日前にフィラリアを駆虫する注射を打って、
「ダメかもしれないよ。」って獣医さんに言われていました。
それでも、レオは毅然と耐えていました。

私はその時、獣医さんが言った言葉の深刻さがわかっていませんでした。
まさかレオが死ぬなんて思ってもいなかったし、現実味がありませんでした。

その日は、両親も用事があり、私自身も友達の家に遊びに行っていました。
夕方帰ってくると、先に戻っていた両親からレオの死を聞かされました。

家族が外出するまで、番犬として立派に家を守ってくれたレオ。
最期までしっかり頑張ってくれたレオ。
守るべき家族がいなくなって、緊張の糸が切れたのでしょう。
家族のいない間に息を引き取っていました。

今日は何の日?
最期に一緒に居ることができなかったことを後悔した日。
何もしてあげれず悔しい思いをした日。
動物を失う悲しみを味わった日。

レオは庭に土葬し、その上にツツジの木を植えました。
そのツツジは、毎年綺麗な花を咲かせてくれました。

今はもう、そのツツジはないけれど、この日が来るたび思いだします。

今日は何の日?
獣医になることを決めた日。
初心を確認する原点回帰の日。

私にとってとても大切な、忘れられない、特別な日です。

この日があったから、今の自分がいます。

つらくて自分に負けそうな時、いつもこの日の思い出が背中を押してくれます。
あの時できなかったことを患者さんにできるように。
レオから学んだ教訓をを無駄にしないように。


今、実家では6代目わんこの蓮(レン)ちゃんが家族の心を癒しています。
蓮.jpg

院長 豊福健





posted by rose-ah at 12:25| Comment(3) | いんちょう日和