2012年01月13日

インターフェロンについて

先日、横浜で開催されたインターフェロン(IFN)の勉強会に行ってきました。

IFNとは動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質で、ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種です。
医薬品としては、ウイルス性肝炎等の抗ウイルス薬として、多発性骨髄腫等の抗がん剤として用いられています。

動物ではインターキャットとインタードックが認可されています。
インターキャットはIFN-ωで主にウイルス感染時に使用します。種特異性が低く、猫だけでなく犬にも使用できます。
インタードックはIFN-γで免疫調整作用が強く、アトピーの治療や最近腫瘍(肥満細胞腫など)に使用されています。種特異性が強いので犬のみの使用に限られます。

今回はインターキャットの勉強会でした。

インターキャットはカリシウイルス(猫風邪)、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルス、犬・猫のパルボウイルス(汎血球減少、下痢、嘔吐)、コロナウイルス(猫伝染性腹膜炎)の治療に使用されます。
また、免疫調整作用を持ちますので、免疫介在性血小板減少症(ITP)や耳血腫の治療のも用いられています。

ウイルス感染に対するIFNはなるべく病気の早期に使用するのが効果的です。
それは、IFNは直接ウイルスを殺す作用があるわけではなく、正常な細胞がウイルスに感染しないように防御する役割を果たすものだからです。
感染していない細胞が病気から回復するときに分裂・増殖することで元の組織に戻ります。
進行した後にいくらIFNを使用しても正常な細胞が残っていなければ、効果を十分に発揮できないということになります。

今回の講義でためになったトピックとしてはカリシウイルスによる口内炎の治療時に直接、粘膜にIFNを注射すると効果的であること。
もちろん、そのまま注射すると嫌がりますので鎮静が必要です。
また、維持治療の時に歯磨きジェル(マキシガード)に混ぜて口腔内に投与することも効果的であり、マキシガードに含有されているタウリン、亜鉛、ビタミンCは組織回復効果があり、一石二鳥であること。
猫白血病は感染しても感染初期であればIFN療法で排除できる可能性がありますのであきらめずに治療する価値があるということ。
持続感染期になってしまうと排除することはできませんが、IFN療法で生存期間を延長できる可能性があること。
また、猫エイズ・白血病に感染しても症状が出なければ、定期的に不活化ワクチン(カリシ、ヘルペス、パルボ)を打って、免疫不全になる前に抗体価を上げておいた方がよいということ。
犬パルボウイルスのIFNの注射経路は皮下投与より静脈投与の方が生存率が高いこと。
ITPにおけるIFNと使用は注意が必要で、人ではIFNの使用により血小板が上昇するが再発のしやすくなるというデータがあり、動物での再発率のデータはないので、コントロールが難しい患者にのみ使用すること。
講義とは別件ですが、耳血腫のIFN治療は最近、ケースレポートが雑誌に掲載されていたので、実際、私もIFNで治療してみましたが、反応率はよく良い治療だと思いました。

疾患別の治療法を知ることができ価値のあるセミナーでした。
今後に診療に生かしていきたいと思います。

院長 豊福健
posted by rose-ah at 17:24| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識