2012年01月25日

歯周病について(後篇)

後篇は歯周病の治療についてです。

歯周病における口腔内検査法
 歯周病の治療の前に口腔内検査を行って歯周病の程度を把握します。
はじめに大まかに歯垢歯石の付着状態や歯肉や口腔粘膜の腫脹、色調などを検査して、その後、麻酔をして詳細に口腔内検査を行います。
具体的には、歯肉の炎症程度、歯垢や歯石の付着程度、歯の動揺度、歯根分岐部病変、歯周ポケットの深さなどを確認し、口腔内X線検査で歯槽骨や歯根膜腔の状態を確認して歯周病の程度を確認して治療方針を決定します。

さまざまな歯周病の治療法
歯周外科治療は炎症のある組織を除去することや進行を阻止すること、歯周病の原因となっている口腔環境を外科手技によって改善することです。
歯周病の基本的治療は、歯垢・歯石除去ですが、通常の歯垢・歯石除去では歯面やポケットを清潔にできない場合、歯周外科治療や、抜歯を行います。
歯垢・歯石除去後、そのまま放置すると早急に歯垢・歯石が付着するために処置後の口腔衛生管理(日常の歯磨き)が重要です。

歯垢・歯石除去
 通常、歯垢・歯石除去(スケーリング)は、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石において行います。
これらを除去した後に歯垢細菌によって汚染されたセメント質表層を除去し、滑沢な根面にするルートプレーニングも行います。
さらに歯冠部では、粗造な歯面を滑沢にするポリッシング(歯面研磨)も行います。

1)歯垢・歯石除去(スケーリング)
超音波スケーラーを用いて思考・歯石を除去します。
2)ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯周ポケット内の根面の汚染セメント質を除去して滑沢な根面にすることを目的として行います。
3)キュレッタージ(歯肉縁下掻爬)
キュレッタージ(歯肉縁下掻爬)とは、炎症の強い歯周ポケット内の歯肉壁を掻爬することをいう。キュレッタージ(歯肉縁下掻爬)はポケットに面する炎症が強い上皮と結合組織を掻爬・除去して歯肉を根面に密着させて再付着させることを目的として行います。
4)ポリッシング(歯面研磨)
 スケーリング後の歯面は、スケーラーを用いた操作で損傷を受け、粗造であるため、そのまま放置すると歯垢・歯石が付着しやすくなるため、研磨剤を用いて歯面を平滑にすることで、歯垢・歯石の再付着の予防します。
5)洗浄
 以上の一連の操作が終了したら、ポケット内や舌および口腔前庭部に研磨剤や歯石片などが残存していると歯肉が治癒しにくくなるため、歯肉縁上および歯肉縁下をクロルヘキシジン水溶液、生理食塩水、および中性水などで徹底的に洗浄します。

抜歯
歯垢・歯石を除去しても口腔内を健常に維持できないと判断されたとき抜歯を行います。
抜歯が適応される場合
1)重度の歯周病で歯槽骨の吸収や歯の動揺が著しい場合
2)歯冠や歯根が破折していて修復あるいは保存が不可能である場合
3)重度の齲蝕(虫歯)
4)外歯瘻や内歯瘻が認められた歯
5)重度の根尖周囲病巣を認めた歯
6)歯の吸収病巣を認めた場合
7)重度の猫の歯肉口内炎の治療法
8)重度の接触性潰瘍性歯周口内炎を引き起こしている歯
9)骨折線上にある歯周病罹患歯
10)後継歯が存在する乳歯遺残
11)歯根吸収が生じている場合
12)歯が嚢胞内に存在する場合
13)残存歯根
14)顎の発達や咬合に影響をおよぼす歯の位置異常―叢生歯・回転歯・過剰歯   

歯石除去後の管理と注意事項
 1)体温の低下
全身麻酔下で、口腔内洗浄を何度も行うため体温が低下しやすいので、帰宅後も室内を温かくする。
1)咳
 気管チューブの挿管や口腔内を洗浄により、気管への刺激や気管に洗浄液が入る可能性があり、咳が認められることがある。
ひどく咳き込む場合は肺炎の可能性があるため特に注意が必要。
3)食事
 縫合部位が接合するのに少なくとも2週間を要するため、硬いフードを給餌すると縫合部位に当たり、痛がったり、状態により縫合部位が開いてしまう可能性があるため少なくとも抜歯後2週間は柔らかい食事を与える。同様の理由から硬めの玩具を加えて遊ばせない。
4)顔面の腫脹
 抜歯箇所が一時、組織反応により腫脹することがある。
5)流涎に血液が混じる
 抜歯後、しばらく流涎に血液が混じることもある。
6)鼻汁、くしゃみ、鼻出血
口鼻瘻管の場合、鼻腔から鼻汁やくしゃみ、鼻出血を認めることがある。
7)眼脂、結膜の発赤
眼窩下に近い上顎臼歯の抜歯の際に眼脂や結膜の充血を認めることがある。
8)口腔ケアの時期
抜歯後2週間は歯みがきを見合わせて口腔内洗浄やデンタルジェルの塗布のみを行う。ただし、縫合していない部位では、通常の歯みがきなどの機械的清掃を行う。
9)エリザベスカラーの装着
前歯の抜歯の際は、縫合部位を自ら気にして床に擦り付けたり、前肢で擦ったりする可能性があるために原則としてエリザベスカラーを装着する。
10)抗生物質の投与、疼痛管理
口腔内の炎症や処置の侵襲の程度により数日間、抗生物質や消炎鎮痛剤などを投与する。



口腔内の健康の維持のために、歯垢・歯石除去や抜歯は有効な治療法ですが、一番大切なのは歯垢・歯石が付かないように日頃からデンタルケア(歯磨き・デンタルガム・歯科用おもちゃ・歯科用食など)を行うことです。
体の健康は歯の健康から。
平均寿命が延びて歯のトラブルも増えています。
愛犬・愛猫が、いつまでも快適にご飯を食べることができるように、毎日のデンタルケア頑張りましょうね。

ボリュームいっぱいの講義でしたが大変勉強になりました。

院長 豊福健
posted by rose-ah at 14:44| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識