2012年01月16日

痴呆について

あなたの愛犬が、もし痴呆になったら?
ふだんはなかなか考えないテーマですが、ペットも高齢化し、
けして避けては通れない話になってきました。
先日、友人から相談を受けて調べてみました。

痴呆になるもっとも多い犬種は柴犬。つぎが日本犬の雑種で、洋犬は比較的少ないと言われています(残念ながらまったくないわけではありません)。
老齢犬の治療とケアを専門的に行ってこられた先生の話では、犬の高齢化とともに痴呆は徐々に増えてきており、その数は90年代の終わりから飛躍的に伸びてきています。
また、高齢犬の飼い主には高齢者の方が多く、そのケアにかかる負担はとても大変なものになっています。
だからこそ、少し早すぎるかなというぐらい早めの心構えや対応が必要だと思います。

痴呆の「原因」は病気からくるものでは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、血管が破れたり(脳出血)する脳の血管障害や脳腫瘍などがあります。その他にも老齢に伴い脳の神経細胞が減り脳全体が小さくなることで起こったり、人間で言うアルツハイマー病の原因と同じ「βアミロイド」という物質が脳内に蓄積することにより起こると言われています。しかし、詳しい原因はまだはっきりわかっていません。


痴呆の犬の「特徴」としては、

1 単調な声で吠える
 抑揚のない鳴き方は人間にはかなり耳障り周辺から苦情が出る
2 前にのみトボトボと歩く
 バックできる犬はまだまだ大丈夫、バックは高度な行動
3 狭い場所に入りたがる
 壁の隙間や廊下の隅、机の下などにもぐりこみ出られなくなる
4 同じ場所で旋回する
 グルグルまわる、ただし左回りは脳腫瘍の疑いが濃い
5 異常な姿勢で寝る
 ひっくり返ってアタマを下にして寝たりする、かなり無理な姿勢
6 自分の名前も飼い主の顔もわからない
 呼ばれても無反応、飼い主が来ても喜ばない
7 よく寝て、よく食べる
 ただし食べてもやせてくる、下痢もしない(自律神経が異常)
8 夜中に起き出して吠える
 飼い主が何をしても制止できない
9 直角のコーナーで方向転換ができない
 首をちょっと曲げるだけの動作ができなくなる

これらのほか、犬に特有なゆたかな感情表現もまったく見られなくなるそうです。
そして「習得してきたことの消失」、つまりそれまでに教えてきたしつけやコマンドを忘れてしまいます。
しかしながら、その半面、人間の場合にはけっこう深刻な尿の垂れ流しはあまりありません。
野生に近い動物である犬には、外敵から身を守るためニオイを残さないのと、自分の寝床は汚したくないという本能だけは残るためだと言われています。
また、視覚や聴覚が鈍くなっても、嗅覚だけは最後まで機能するケースが多いようです。

それでは、こうした痴呆の症状が出てきたらどうするか?
それについてはつぎのようなポイントがあげられます。

1 多臓器疾患をチェック
 肝・腎・甲状腺の病気、関節炎、ガンを併発していることがある
2 栄養失調をふせぐ
 食べているようで飲み込んでいないケースがある
3 散歩に出してあげる
 散歩ができればより長生きできる、草の中などを歩くと刺激になる
4 日光浴させる
 生体時計を活性化する、ただし夏の日中の散歩は逆効果、寒さにも注意
5 室温を調整する
 冬は人が暑いと感じるぐらいの温度(26〜27c)に設定
6 スキンシップを大切に
 頭から顔、首、背中とさわる手順を同じに
7 同じ人が管理する
 いつも同じ飼い主が管理する、別の人がやるときは同じ手順で
8 犬との接触もこれまでどおりに
 ぼけた犬に攻撃性はない、攻撃性があれば痴呆ではない
9 入院させない
 場所替えしない、悪化するだけ、自宅でケアするのが一番
10 特製のケージをつくってあげる
 風呂マット3枚を丸くつないだ自作ケージ「エンドレスケージ」を作成する
 行き止まりがなく、グルグル回れるので犬のストレスが軽減し、鳴きが減少する
 また、歩き疲れて眠ってくれる
11 嫌がることをしない
 無理に押さえつけたりすると暴れて事故のもとになる
12 床ずれは早めに処置する
 寝たきりになると床ずれができる、ひどくなると死に至ることも

痴呆を治すクスリはありませんので、うまくコントロールすることが大切です。
多くの研究により、EPA、DHAなどの不飽和脂肪酸が人間のアルツハイマーには有効なことがわかってきました。
EPAやDHAを豊富に含む「メイベット」(明治製菓)という不飽和脂肪酸のサプリメントを使って、夜鳴きがなくなる、顔に表情が戻ったなどの成果を得たとの報告があります。

EPAやDHAを積極的に与えることで、痴呆の進行を緩やかにし、ボケ防止にもなるかもしれません。
一度試してみる価値はありそうです。
また、メラトニンやクロミカルムなども効果的な場合があるようです。
鎮静剤(ジアゼパム、アセプロマジンなど)を使用することもありますが、外部刺激に鈍感になり逆に痴呆が進む場合があります。

いろいろ手段を講じてみても、最終的にはどの方法も有効でなくなる時がいつか訪れます。
やがてきっとくるその日のために、飼い主様ができることは、何があってもあわてず動じず、事実を事実として受け止めてしっかり対応すること。
そのためには、こうした予備知識をふだんから仕入れておくことが重要です。
それが、たくさんの深い愛情をくれた愛犬への恩返しになると思います。

院長 豊福健
posted by rose-ah at 14:53| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識

2012年01月13日

インターフェロンについて

先日、横浜で開催されたインターフェロン(IFN)の勉強会に行ってきました。

IFNとは動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質で、ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種です。
医薬品としては、ウイルス性肝炎等の抗ウイルス薬として、多発性骨髄腫等の抗がん剤として用いられています。

動物ではインターキャットとインタードックが認可されています。
インターキャットはIFN-ωで主にウイルス感染時に使用します。種特異性が低く、猫だけでなく犬にも使用できます。
インタードックはIFN-γで免疫調整作用が強く、アトピーの治療や最近腫瘍(肥満細胞腫など)に使用されています。種特異性が強いので犬のみの使用に限られます。

今回はインターキャットの勉強会でした。

インターキャットはカリシウイルス(猫風邪)、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルス、犬・猫のパルボウイルス(汎血球減少、下痢、嘔吐)、コロナウイルス(猫伝染性腹膜炎)の治療に使用されます。
また、免疫調整作用を持ちますので、免疫介在性血小板減少症(ITP)や耳血腫の治療のも用いられています。

ウイルス感染に対するIFNはなるべく病気の早期に使用するのが効果的です。
それは、IFNは直接ウイルスを殺す作用があるわけではなく、正常な細胞がウイルスに感染しないように防御する役割を果たすものだからです。
感染していない細胞が病気から回復するときに分裂・増殖することで元の組織に戻ります。
進行した後にいくらIFNを使用しても正常な細胞が残っていなければ、効果を十分に発揮できないということになります。

今回の講義でためになったトピックとしてはカリシウイルスによる口内炎の治療時に直接、粘膜にIFNを注射すると効果的であること。
もちろん、そのまま注射すると嫌がりますので鎮静が必要です。
また、維持治療の時に歯磨きジェル(マキシガード)に混ぜて口腔内に投与することも効果的であり、マキシガードに含有されているタウリン、亜鉛、ビタミンCは組織回復効果があり、一石二鳥であること。
猫白血病は感染しても感染初期であればIFN療法で排除できる可能性がありますのであきらめずに治療する価値があるということ。
持続感染期になってしまうと排除することはできませんが、IFN療法で生存期間を延長できる可能性があること。
また、猫エイズ・白血病に感染しても症状が出なければ、定期的に不活化ワクチン(カリシ、ヘルペス、パルボ)を打って、免疫不全になる前に抗体価を上げておいた方がよいということ。
犬パルボウイルスのIFNの注射経路は皮下投与より静脈投与の方が生存率が高いこと。
ITPにおけるIFNと使用は注意が必要で、人ではIFNの使用により血小板が上昇するが再発のしやすくなるというデータがあり、動物での再発率のデータはないので、コントロールが難しい患者にのみ使用すること。
講義とは別件ですが、耳血腫のIFN治療は最近、ケースレポートが雑誌に掲載されていたので、実際、私もIFNで治療してみましたが、反応率はよく良い治療だと思いました。

疾患別の治療法を知ることができ価値のあるセミナーでした。
今後に診療に生かしていきたいと思います。

院長 豊福健
posted by rose-ah at 17:24| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識

2011年12月25日

誤食のシーズンです!ご注意を!!

年末年始は誤食が多いシーズンです。
クリスマスにお正月。

色んなお料理が出てきます。
大勢の人が出入りします。


忙しくお料理を作っていると・・・。
ご馳走をテーブルの上に置いたままにしていると…。
ついつい今回だけはと・・・。


色んなタイミングで、ペットたちはパクッとしてしまいます。

このシーズンのご馳走には危険がいっぱい。

味付けが濃すぎたり、串が刺さっていたり、チョコレートが一杯だったり。
お酒だって飲んじゃうことも。

挙げればキリがありません。

1年の締めくくりと初め。
ついつい行事に気をとられてしまって、ペットの行動に目が届かなくなってしまいます。

大切なのはペットに食べるスキを与えないこと。
食事は食べるときに出して、食べ終わったらすぐに片づける。
食事中はケージにいれて、そこで待ってもらう。
ケージにペット用のおもちゃを一緒に入れておくと気が紛れておとなしくしてくれることも。

十分気を付けていても、事件は起こってしまうことがあります。
そういう時は、ご相談ください。
12/31〜1/2の年末年始、当院は休診しておりますが、
できるだけ対応させていただきたいと思います。
留守番電話にご連絡先とご用件を録音ください。

誤食がないことを願っております。

良いお年をお迎えください。

院長 豊福健

posted by rose-ah at 10:33| Comment(0) | 病気のアレコレ豆知識